防水工事の必要な部位はどこ?

 

 

防水工事は、建物に要求される数多い機能の中でも、生活環境を確保する上で最も重要な仕上げ工事の一つである。

防水工事の要求品質は、完成した防水層は水を通さないという性質を有する事、その防水層が長持ちするという機能が防水工事の要求品質であるといわれている。

防水工事は、要求性能あるいは要求機能を確保するために、適切な材料を用いて、適切な工法で防水層をつくらなければならない。そのために重要のことは「下地・納まり・仕上げ」が、バランスよく適切に整えられていることのほか、防水施工の環境を保つような施工期間を立案することであるが、建設工事は屋外で自然環境を相手にしなければならないという大きな問題を克服しなければならない難しい工事である。これからの諸問題を解決し、防水工事の要求品質を確保するためには、次の事項が重要なポイントとなる。

(1)防水工事に対する要求性能及び機能を十分に確認し、理解すること。

①防水工事に用いる材料は、所定のものであること。

②防水層は、所定の形状及び寸法を有し、所要の仕上がり状態であること。

③防水層は、取合い部を含め漏水がないこと。

(2)防水層の施工条件と現場の状況を把握し、問題点を抽出すること。

①材料及び工法が要求する施工条件と現場の状況及び環境。

②施工部位の下地の性質とその問題点。

③施工部位の構造とその問題点。

④施工部位の納まりとその問題点。

⑤材料及び工法が抵触する関連法則類。

⑥防水施工技能員の技量。

(3)問題点を想像し、その対策を検討すること。

(4)速やかに報告・連絡・相談ができる管理体制を確立すること。

建築防水と水

水は建物の各部位に対して、それぞれ溜まる、流れる、跳ねる、凍るなどしてさまざまな悪影響をおよぼす。

防水工事は、これらの水の悪影響から建物を保護する、あるいは人が生活していく上で必要な水を貯留するなどの目的で行われる重要な工事である。

常識破りの水の挙動

①雨・雪、は上から降るのが常識であるが、風が伴えば横からも、下からも降る(吹き上げる)。

②水は、高い方から低い方へ流れるのが常識であるが、風が伴えば低い方から高い方へも流れる。

③水は、外壁には溜まらないのが常識であるが、風が伴えば外壁にも水は溜まる。

そして防水工事の必要な部位

※降水などの影響を受ける部位

建物が降水(雨・雪・ひょう・あられ・みぞれなど)の影響を直接受ける部位は、屋上、屋根、バルコニー、ベランダ、開放廊下、外壁などである。

降雨水、これらの部位に対して風速、風向き、降水量及び気温のどの気象状況によって、流れる、跳ねる、留まる、あるいは凍るなどの形をしめしてさまざまな悪影響をおよぼす。

これらの部位の防水工事では、降雨水の悪影響を受けないよう、各部位の納まりをしっかりと検討しておかなければならない。また、これらの部位は外部に面していることから、防水施工の際に、現場の環境・状況及び気候・気象条件と防水材料・工法が要求する施工条件を十分に検討しておかなければならない。特に寒冷の冬季の施工においては、気温及び下地の温度などを十分に考慮した施工計画を立案しなければならない。

※地下水などの影響を受ける部位

地下水の影響を直接受ける建物の部位は、地下外の外壁及び底部などのほか、上床盤といわれる地上階のない地下階の天井スラブ面である。

地下水は、地域によって異なる成分を含有した圧力のある滞留水として地下階のこれらの部位に悪影響をおよぼす。

これれらの部位の防水工事では、地下水位あるいは含有成分などを確認しておく必要がある。

建物の地下階は、建物の地下構法によって防水工事のあり様が異なるため、設計階段から施工の安全性を含めて綿密に検討しておかなければならない。

現場での対応では手遅れになる場合が多い。

※生活用水などの貯留及び排水の影響を受ける部位

生活用水とは、人が生活していく上で必要となる、飲料水、洗浄用水などでこれらの水は、溜まる、流すななどして使用される。生活用水を使用する一般的な部位は、浴室、シャワー室、厨房、便所などである。

生活水は、一般に使用する部位から他の部位に水が漏らないようにしなければならない。

これらの部位の防水工事では、各部位における水の使い方(壁面はの水のかかりかた)を十分に考慮して、納まりを検討しておかなければならない。

また、最近は、免震スリットやバリアフリー対策などの納まり問題も生じている。

飲料水槽の場合は、衛生面の問題も検討しておかなければならない。

※農業用水などの貯留及び排水の影響を受ける部位

産業用水とは、農業、工業あるいはレジャー産業などあらゆる産業を営む上で必要となる水、あるいは使用済みの水で、これらの水は溜まるあるいは流すなどして使用される。一般に使用する水は真水であるが、使用済みの水は種々の成分を含んだ排水となる。

水槽類の防水工事では、排水を貯留する水槽などの場合は、耐薬品性など、それぞれの水槽類の用途によって、異なる必要性能を十分に把握する必要がある。

防水工事だけでは、対応しきれない問題もあるので注意する。